サウジアラビアは、宗教国家で長らく文化的に閉じた国で、
「石油と石油王と砂漠以外のイメージしかない」という方も、まだまだ多いことでしょう。
観光ビザの解禁と国家主導の文化政策転換により、2019年以降、石油依存からの脱却を目指し、エンタメや観光産業を強化しており、日本との距離が急速に近づいています。
海外観光客も海外カルチャーも積極的に政府が受け入れるフェーズに入り、
昨年の大阪万博でも、フレンドリーでおしゃれなサウジアラビアのイメージに
「行ってみたい!」と思う人も増えてきている&
実際ヨーロッパ旅行の乗り換えで旅行をする人や、サウジ観光をそもそも目的に行く人も
私の周りにもいるくらい旅行先としてメジャーになってきました。
前提:国家戦略としての文化開放(2019年以降)
- 2019年:観光ビザ解禁
- Vision 2030 に基づくエンタメ産業強化
- 石油依存からの脱却を目指し、文化・観光・スポーツへ巨額投資
以降、「Season」プロジェクト(都市ごとの国家主導フェス)」が本格化。
① ジェッダ(Jeddah):日本カルチャー実験の拠点
■ 2019年
SAUDI ANIME EXPO 2019

Linked Horizonが初の日本人アーティストとして公演を実現するなど、
サウジアラビアが開国した!と日本の業界でも話題となったイベント
2022年 Anime Village(Jeddah Season 2022)
開催期間:2022年5月19日(木)〜7月2日(土)

サウジアラビアの文化的中心地”ジェッダ”にて2か月間開催されたイベント
「ジェッダ・シーズン2022」の目玉企画
日本のアニメ・音楽・フード・カルチャーを横断的に体験できるエリアが「Anime Village」でした

このAnime Villageでは特設ステージが常設され
- FLOW
- Aimer(6/29出演)
- 藍井エイル
- SennaRin from SawanoHiroyuki[nzk](6/18出演)
- miwa
- KAWAII MONSTER CAFE (MONSTER GIRL × RAM RIDER)
日本からアニメや日本文化との親和性の高いアーティストが週末のコンサートに出演する形で開催されました。
■ 2024年 Anime Village 2024(Jeddah Season)
2年ぶりに開催されたジェッダシーズンのアニメビレッジは、
日本アーティスト招聘は縮小、VR・展示・文化体験型が中心に。
また日本のレーベルががっつりと関わっていた2022年とは打って変わって制作はローカル主導に。
➡NARUTO・進撃の巨人・ゴジラのVR体験など、よりアニメコンテンツに寄った内容に。
アニメ人気が強まっていることは下記記事からもうかがえます。
アラブニュース記事:「サウジアラビアのアニメ・漫画ブームは文化革命だ」
https://www.arabnews.jp/article/saudi-arabia/article_165002/?v1
② リヤド(Riyadh):国家スケールの巨大エンタメ都市
■Riyadh Season 2022年
リヤド・シーズンは前述のジェッダシーズンよりも大規模・国家戦略色が強め。
ブルバードワールドゾーンという世界各地のカルチャーが万博のように体験できるゾーンに
日本各地の観光スポットを再現した「アニメタウン」が誕生
日本の伝統文化やトップカルチャーも体験できるブースが展開されました。

この年は「SACRA MUSIC MONTH」が開催され、ジェッダに続きリャドでも
日本にアニメ×音楽の親和性の高いアーティストがライブを実施
12月7日 SawanoHiroyuki[nZk]
12月8日 FLOW
12月9日 Aimer
12月15日 Who-ya Extended
12月16日 藍井エイル
12月22日 スピラ・スピカ
12月23日 ReoNa
12月29日 斉藤朱夏
12月30日 halca
12月31日 ASCA
日本人アーティストはサウジアラビアでジェッダ&リャドの両シーズンで
2022年に大きく躍進したことが伺えます。
■ Riyadh Season 2023年
開催期間:2023年4月24日〜6月7日
日本カルチャー紹介エリアとして「アニメタウン」が引き続き展開。
動画でもわかる通り、とんでもないスケールでの日本カルチャー紹介が行われています。
ただし、2023年はライブは少なく、現地発のオリジナルアニメなどをフォーカスしたり、
より人気アニメIPのキャラクターグッズ販売になったり、ライブも
Samurai KAMUI や LADY SAMURAI’S CHAOS などの日本文化系パフォーマンスになるなど、
方向転換が行われています。
③ 2025年: YOSHIKI ヘグラ遺跡での公演
すっかり2024年は「■■Season」では日本のアーティストの招聘が減り、
イギリスのチームが運営するe-sportsのイベントが大人気になる、
EDMフェスが開催される、ワールドワイドなアーティストのコンサートが開催される
様々なミュージアムやモールが常設でオープンするなど
文化的イベントが大忙しのサウジアラビアでしたが、
2025年はAlUla(ヘグラ遺跡)で唯一YOSHIKIの公演が実施されました。
日本人アーティストとして極めて例外的な形で、
YOSHIKI がサウジアラビアの世界遺産でライブ。
これは大規模フェスやJeddah Season文脈ではなく、
国家・観光戦略レベルの特別案件となり、今までとは異なった形での
日本人アーティストの招聘となりました。
- 開催地:AlUla(世界遺産エリア・ヘグラ遺跡)
④これからは常設施設が増えていく
世界文化遺産ジッダ歴史地区に2024年にオープンしたチームラボによる常設ミュージアム
「teamLab Borderless Jeddah」はすでに多くの観光客を魅了しています。
また世界中の驚かせたドラゴンボールのテーマパーク建設もサウジアラビアです。
サウジアラビアのQiddiya Investment Companyが進めるギガプロジェクト「Qiddiya(キディヤ)」にて、世界初となる『ドラゴンボール』のテーマパークの建設が決定。開業は2030年目標とのこと。
キディヤにはアメリカの有名遊園地絶叫マシンが勢ぞろいの「Six Flags Qiddiya City」に
大型アクアパーク「Aquarabia Qiddiya」ができ、強力なエンタメがどんどん誕生します。
世界のエンタメがどんどんサウジアラビアに流入する中、
日本の人気をどう保ち続けられるかは、今後次第となりそうです。
⑥一度招致バブルは落ち着くも、サウジは「まだまだこれからの国」
- 「サンリオ」「進撃の巨人」「NARUTO -ナルト-」「名探偵コナン」アニメ・マンガ・キャラクターはは大人気
- 検閲などは相変わらず厳しいですが、カルチャーに対しての投資はまだ続いています
- ジェッダ・リャドをはじめ都市・国としてのポテンシャルは非常に高く、日本好きが多い
- なんとも癖の強い国の人々ですが成功の鍵は短期収益ではなく、長期関係構築です(体験談)
- もちろんサウジ人とのコネクションがこの国での展開では必要不可欠
サウジアラビアは宗教国家のため、厳格な表現の規制があり、特定のテーマや描写が放送・配信の制限対象となります。
例えば「進撃の巨人」は、暴力描写や世界観設定の影響から、中東地域では放送や配信が制限・編集対象となったケースがあります。過激なシーンのカットや、表現の調整が行われることもあります。
また、ローカライズの成功例としてよく挙げられるのが「ドラえもん」です。
アラビア語圏ではキャラクター名やセリフのニュアンスを現地文化に合わせて調整し、教育的要素や友情・家族愛といった普遍的テーマを強調する形で展開されました。結果として、単なる翻訳ではなく“文化適応型”のローカライズが定着を後押ししました。
こうした戦略は、単語を置き換えることではなく、価値観の翻訳です。
現地パートナーと連携し、文化的背景を理解したうえで作品を再構築する姿勢が、持続的な展開の鍵となります。
Triplegunsは中東地域でのプロダクション・ローカライズも得意です。
どうぞサウジアラビア展開が気になる方はお問い合わせください。