「興行」から紐解くオアシスの再結成ツアー<oasis live ’25>

2025年のOasis再結成の経済的インパクトをまとめる記事

昨年の夏といえば、イギリスはオアシスの再結成ツアーでめちゃくちゃ盛り上がりました。
ウェンブリースタジアムのビール売上更新をし、カーディフ・マンチェスター・ロンドン・エディンバラ・ダブリンとツアー都市の経済を動かしまくった“世界最強ツアー”だったといえます。

イギリスの国民的ロックバンド が再結成をするとここまで
都市を動かし、経済を動かし、世界中の人をイギリスに呼び寄せることができるのかと思い知りました。

「音楽史」だけでなく「興行史」に残るツアーだったと思うので、
一旦どんなところがすごかったのか改めてまとめてみます。

とてつもない盛り上がりの様子はこちら

■ 新曲も広告も、インタビューもなし

まず今回のツアーで異例だったのはここでしょう。
アルバムをつくり、プロモーション(インタビューを受け、ミュージックビデオをとりなどのPR)をし、そこからツアーをするという王道の流れは、一切なし!
今回の再結成ツアーではアルバム発売どころか、新曲すら披露されていません。
往年のヒット曲を聞ければいい!それがまったく問題にならないのがOASISという存在です。


■ 再結成を象徴する写真は、たった1枚

リリースされているのはオフィシャル写真がこの1枚。
今までこんなことがあったでしょうか。
TikTok用の縦画像だ、インスタグラム用の横画像だと常に様々な素材を入稿している
世界中のデザイナーも限られたこの素材のみでビジュアルをつくることに頭を悩ませたことでしょう

というか写真1枚でいいなんてすごすぎ・・・・

上記2点から、なんてPR予算が絞られた効率的なツアーなんだろうと私はすでに感動しています。


■英国議会でも激論!ダイナミックプライシング事件

オアシス再結成公演のチケット販売についてイギリスの競争・市場庁が法律違反があった可能性を指摘 https://nme-jp.com/news/153820/

Ticketmaster agrees to better price information after Oasis complaints
チケットマスターはオアシス公演の苦情を受けて価格情報の改善に同意

https://www.bbc.co.uk/news/articles/cqxzqvw4lv8o

英政府が、コンサートチケットを定価以上で販売することを違法化すると発表。先週レディオヘッド、ロバート・スミス、デュア・リパなどが首相にファンを守るようにと公開書簡に署名。

https://rockinon.com/blog/nakamura/213710

皆さんはこのようなニュースを目にしたでしょうか??

2025年のオアシス再結成ライブのチケット販売において、チケットマスター社が低価格のチケットを売った直後に高価格帯のチケットを販売した手法(ダイナミック・プライシングの疑い)が、英当局の調査対象となった問題です。高騰する価格と不透明なシステムがファンから大きな批判を浴びました

その中心にいたのはTicketmaster。英国議会にまで話がいき、 「ライブチケットの価格は誰のものか?」という世界的なルール議論を引き起こした。
ここからコンサートにおける金額の設定が見直され、昨年のRADIOHEADのツアーチケット販売時はアーティストが「ダイナミックプライシングはしない」
と声明を出すなど、OASIS再結成ツアーチケット争奪戦以降は、ファンを守る行動が見直されています。

■ウェンブリースタジアムのビール売上、過去最高を更新

こちらは、OASISにまつわる愛すべきニュースがたくさんイギリスをにぎわせた中で
もっと笑え、ファンも胸をはっている伝説。

ロンドンにあるサッカーの聖地「ウェンブリー・スタジアム」のコンサート時、
1晩で25万パイント(約142,000リットル)が消費され、
過去最高のビール売り上げを記録しました。

・1公演あたり動員:約 90,000人
・観客の年齢層:30代後半〜50代中心+若年層

結果:
ビール売上がスタジアム史上最高水準を記録

サッカーの試合中はビールが飲めない法律になっている&ファンの滞在時間が短いため、
上位記録は人気アーティストのコンサートが独占していますが、
テイラースウィフトやコールドプレイに圧倒的な差をつけてOASISが1位に

・コールドプレイの2024年の公演では、1公演あたり平均12万パイント
・テイラー・スウィフトの「Eras Tour」公演では、1夜あたり4万パイントが販売。
→オアシスのファンはコールドプレイの倍、スウィフティーズを6倍以上飲んでいる!

「歌いながら飲む」「両手にビールをもって歌う」
「前座のCASTからリチャードアシュクロフト、OASISまで何時間も滞在して飲む」
「またビールが入ったカップを好きな曲のイントロで投げる」
など OASISファン特有の観客行動が、そのまま売上に直結。
当然、ウェンブリー周辺のパブでも、コンサート前後にファンが殺到する中で
売上げが急増したそうです

大量のビールを片付ける動画もバズりました。


数字で見るチケット市場インパクト(推計)

平均チケット単価:£120〜£150 → 約 24,000円〜30,000円

9万人キャパのウェンブリー1公演あたりのチケット総売上:£11M〜£13.5M → 約 22億円〜27億円

世界ツアー全体のチケット総売上:£300M〜£500M規模 → 約 600億円〜1,000億円規模

Ticketmasterの手数料収益(世界):£30M〜£75M → 約 60億円〜150億円

桁違いのお金が動いていますがさらに、バークレイズの消費動向調査の一環としてワンダーウォレッツが行った調査ではオアシスの再結成公演ではUKにおける17公演で140万人の観客によって
10億6000万ポンド(約2000億円)の消費活動が行われるという結果も発表されています。

ロンドンのシティを歩けば、世界中からきたOASISファンが好きな曲のTシャツ着て闊歩。
オフィシャルストアのカーナビ―ストリートにオープン。
「音楽目的の訪英」が顕著に増加。
私も日本から多くの友人が海を渡ってやってきました。

イギリスへ都市が“お祭り”になったともいえます。
今回の再結成ツアーはBBCをはじめとした大手メディアが再結成ツアーの様子を一斉に報道し、
壮大なる復活を祝っていました。

■世界最強のツアーを成立させた構造

この再結成ツアーは、世界最大級の興行会社 Live Nation を中心に組まれました。

・再結成ニュースの世界同時発表
・スタジアム級会場連続
・チケット・物流・制作の完全統合

音楽 × 都市 × 経済 × 国境すべてを横断した、
世界最強のチームで世界的バンドの再結成を支えたことになります。

数千人規模の制作・運営人員が想定され、
関わった人数も1公演あたり:500〜1,000人だとすると、
ワールドツアー全体:数千〜1万人規模の雇用を生み出しています。

■まとめ

オアシスの再結成が証明したことは
①「新曲がなくても、世界は動く」
②「強いコンテンツがあればPRしなくてもチケットは売れる」
③「世代を超えたIPは、都市経済を変える」

そして音楽は「感情」と同時に「数字」も生むということでした。

OASISの再結成は、ノスタルジーではなく、
現在進行形のイギリスの音楽産業最大の挑戦だったと思います。

発表から最終公演まで、本当にお疲れ様でした
バンド、制作陣、プロモーター、会場、
そして世界中のファンの皆様へ!